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日向秀和氏、大喜多崇規氏特別授業

日向秀和氏、大喜多崇規氏特別授業

作成日:2018/06/20

6月11日(月)CATホールにてベーシスト日向秀和氏とドラマー大喜多崇規氏によるセミナーが行われました。

 

 

お二人はバンド「Nothing’s Carved In Stone」「FULLARMOUR」「Killing Boy」といったバンドのリズム隊のほか、人気ゲーム「ボーイフレンド(仮)」の音楽制作を手がけるなど、多くの場面において活動を共にしています。今回のセミナーでは、バンドアンサンブルにおけるサウンドメイクやリズム隊の絡み方、グルーヴの出し方といった内容で解説、実演を行なっていただきました。

 

17:00、セミナーが開始。
学生たちの期待が高まるなか、この日司会進行を担当してくださった島村楽器梅田ロフト店の千原さんの呼び込みで日向氏、大喜多氏が登場。
Nothing’s Carved In Stoneの楽曲「Milestone」を披露していただきました。

 

 

まずは、お二人がCATの学生たちと同じくらいの年代の頃、どのような音楽活動を行なっていたのかという話題に。

 

中学生の頃からベースを始めたという日向さんは、とにかくゲームを攻略する感覚でコピーをしていたそうで、1日10時間くらいベースを弾いていたそうです。プロを目指したいという気持ちよりも、ベースが楽しい、表現したい、上手くなりたいという向上心からどんどんのめりこみ、巷で上手いベーシストとして名を馳せ、「ART-SCHOOL」「ZAZEN BOYS 」「ストレイテナー」といったバンドに誘われてデビューのキッカケを掴んだそうです。

 

一方大喜多さんとドラムの出会いは中学生の頃の吹奏楽部だそうで、バンドを組み始めたのは高校生くらいの頃。その後音楽専門学校に進学して音響エンジニアの専攻で学んでいたのですが、エンジニアとして一人前になるための年月や経験に費やす時間をドラムに注ぎたいという思いが強くなっていったそうです。
海外でも活躍するほど夢中になったバンドを脱退し、一時はスタジオミュージシャンとしても活動しておられました。その時にはバンドだけでは知り得なかった音楽の世界が広がったそうです。

 

お二人とも「好きなことに情熱を注ぐ」その思いはプロになってからもより一層強くなったそうです。これまで憧れだったプロのミュージシャンの方々と同じステージに立ってからも、より練習に力が入るようにもなり、自身のスタイルを確立するにあたりいろんな奏法を身につける努力をしてこられたそうです。

 

こうしてそれぞれに音楽経験を積み重ねていく中で、ELLEGARDENが活動休止となったギタリスト生形真一氏と出会い、結成されたNothing’s Carved In Stoneは今年で10周年。メンバー間でのリスペクトはもちろんのこと、やはり長い年月を経て生み出されるグルーヴは信頼、阿吽の呼吸といったものを感じさせられます。

 

 

ここで、バンドにおけるグルーヴの出し方についてのお話になりました。
常に心がけておられるのが、各パートの「タイム感」。ボーカルやギターが表現の上で比較的自由度があるのに対し、ドラムはジャストをキープ。そこに若干後ろ目でベースのうねりがバスドラを追いかけることで厚みを生み出しているそうです。また、そのことによって歌も良く聞こえるようになるとのこと。感覚的なようでもあり、非常に緻密に組み立てられているのですね。

 

また大喜多さんには、裏拍をきちんと取るためのメトロノームを使った練習方法、クリックのテンポをを1/4に落とし4拍目の裏で取るという練習方法を実演していただきました。ベーシスト・ドラマー以外にも効果的なのでぜひ個人練に取り入れてほしいです。

 

デモ演奏2曲目は「November 15th」バンド結成記念日について書かれた、ライブでも必ず演奏される思い入れの強い楽曲です。

 

デモ演奏のあとは、CATの特別授業ならではのコーナー。
日向さん、大喜多さんとCAT生のセッションです。

 

まずはベース専攻豊田君。
テクニカルな楽曲を得意とする豊田君が挑戦したのは「Like a Shooting Star」日向さんからは、豊田君オリジナルな表現を評価していただきました。

 

2人目は同じくベース専攻の鳩野君。
積極的にバンド活動を行なっている鳩野君が挑戦するのは「Cold Reason」なんと5拍子の難曲。ナチュラルにアフタービートを刻めていると日向さんのお墨付きをいただきました。

 

3人目はドラム専攻の石塚君。
とにかくいつも練習熱心な石塚君は「Brotherhood」に挑戦。ドラムが音色で表現できていて、歌を生かすタイム感がしっかり出ているとのお言葉をいただきました。

 

最後に登場したのはドラム専攻卒業生の安田君。そう、今WOMCADOLEのドラマーとして活躍中の、あの安田君です。
2年生だった3年前に大喜多さんがセミナーで来校された時以来の再会となる安田君は「Like a Shooting Star」をプレイ。先輩としてさすがの貫禄を見せてくれました。

 

学生たちとのセッションで盛り上がったあとは、日向さん、大喜多さんによる「Like a Shooting Star」を披露していただきました。後半にでてくるベースとドラムの掛け合いがとても気持ちよく、本当にカッコいい楽曲です。

 

セミナーでのお話は、演奏テクニックに関することだけではなくモニターでどういった音を聞いているのか、サウンドメイクについてなど、ライブの際に生かされる内容にも触れていただき、PAの学生たちにも参考になることがたくさんありました。

 

また、バンドアレンジに関するお話では、ジャンルに関わらずたくさん聞いて、コピーして吸収してきたものが自身のスタイルになり閃きに繋がっていくとのことでした。例えば日向さんの場合、ストレイテナーではVo.のホリエアツシさんが弾き語りで作った曲を一度聴くと、次にはアレンジが出来上がっているのだとか…ベースアレンジのヒントはプリンスなどBLACK MUSICやHIPHOPにあるそうです。音楽的な引き出しの多さが新鮮なアイデアに繋がっているというお話は、非常に興味深かったです。

 

セミナーも終盤に入り、学生たちの質疑応答にも丁寧に答えていただきました。「どのようにしてフレーズを組み立てているのか?」という質問に対しては、即興でフリーセッションも披露していただきました。

 

最後にお二人から「音楽を続けて行くにあたって大切にしていること」ということで、大喜多さんからは「自分が好きだと思うことに情熱を注ぐと共に、支えてくれる人たちに対する感謝の気持ちを忘れないこと」と、日向さんからは「何事も楽しむこと。その気持ちがなければ向上することはできない。人との出会い、いろんな事との出会いも楽しんでほしい」というメッセージをいただきました。

 

デモ演奏「(as if it’s) A Warning」を披露していただき、2時間にわたる特別授業は終了となりました。

 

今年10月にはNothing’s Carved In Stoneの武道館公演を控えるというお二人は、ミュージシャンやスタッフを目指す学生たちにとっては、まさに憧れの存在。今回のセミナーは心に残る、そして将来の夢や目標につながる貴重な1日になったことでしょう。

 

お忙しい中セミナーの機会をいただきました、日向秀和さん、大喜多崇規さん、本当にありがとうございました。
ご協力いただきました、島村楽器梅田ロフト店 千原さん、ありがとうございました。

 

 

【今回のセミナーで演奏、オペレーターを務めた学生の感想】

 

 

ベース専攻2年 豊田 将司
大喜多さんというとても有名なドラマーとの共演という事で、とても緊張して臨みましたが、当日はとてもフレンドリーで優しく接していただいたことで、全力で挑む事ができました。ベースの日向さんにもお褒めの言葉をいただきとても光栄でした。その後の質疑応答なども含め、とても勉強になった1日であり、良い経験ができました。

 

ベース専攻2年 鳩野 幹
日向さんは、僕がベースを弾き始めた頃から憧れの存在で、ベースマガジンに載っているフレーズをコピーしていました。特別授業に日向さんと大喜多さんが来るということを知った時からテンションが上がっていました。当日はとてつもなく緊張しましたが、セッションすることができてとてもいい経験になり、今後の音楽活動の刺激になりました。今回自分にとって満足いく演奏が全然できなかったのですが、セミナーでのお話やデモ演奏から吸収したものを生かして、もっと練習して次にお会いする機会があれば、成長した姿を見ていただけるように頑張ります!ありがとうございました!

 

ドラム専攻2年 石塚 慶
普段絶対に体験できない貴重な経験ができて本当によかったです。ひなっちさんと大喜多さんもとても優しくて演奏も素晴らしくて、ただただ凄かったです。楽しかったです。ありがとうございました!

 

ドラム専攻卒業生 安田 吉希(WOMCADOLE)
大喜多さんとは在学中に学園祭でのセミナーに参加させていただき「白昼」を叩いて以来、3年ぶりにお会いできました。今回卒業生として特別に参加させていただきましたが、日本最高レベルのリズム隊のグルーヴを目の前で体験出来ることができ、とても刺激になりました。今度は対バン出来るよう、これからもっと精進します!

 

 

音響エンジニア専攻2年 福田 修輝
セミナー本番はもちろんのこと、当日を迎えるまでの日々も緊張でガチガチでした。
初めてオペレーターを務める相手がプロのアーティストだったこともあり、不安でいっぱいで、前日はなかなか眠れませんでした。当日はサウンドチェックの時からかなり緊張していたのですが、大喜多さんと日向さんが気遣ってくださったり、声をかけて緊張をほぐしてくださったのがとてもありがたかったです。本番が始まればあっという間に終わってしまった気がします。憧れだったアーティストのオペレーターを務めたことは、とても貴重な経験になりました。今度は現場で会えるように頑張りたいです。

 

【Special Thanks】
今回のセミナーには、ミュージシャン学科の学生だけではなく、2年音響エンジニア専攻PAクラスが授業の一環として当日の音響すべてを担ってくれました。ラインアレイスピーカーKARAとSOUNDCRAFT Vi6 デジタルミキサーを組んで、完全なライブ仕様!CATのPAチームの本気を見せつけてくれました!

 

また、お二人に使っていただく機材は卒業生たちが提供してくれました。ドラムはCATホールに常設のSAKAE Almightyにスプラッシュ、チャイナのシンバル類、ツインペダルを。ベースはABECK山根君がLakland SL-Joe Osborn(レイクランド ショアライン)、ベースアンプは暴想ソプラノバイエルン堀君がGALLIEN-KRUEGER (ギャリエンクルーガー)、その他DARKGLASS B7KやSansampといったエフェクター類などなど「CATでひなっちサウンドにできる限り近付けよう!」と頑張ってくれました!

 

 

特別授業を実施するにあたり、準備から協力してくださった先生方、卒業生のみなさん、ありがとうございました。

 

(キャリアセンター 岡本)